孤狼の血

【アンポンタンの観たくなる映画解説】

地上波では許されない暴力描写とエロス！？

　役所広司、松坂桃李、竹野内豊、そして江口洋介・・・。現在の日本映画界において、最も輝く実力派俳優が一堂に会いし放つ狂気のエンターテイメント‼

　昭和63年の広島を舞台に、ヤクザの抗争と、それを阻止しようとする警察との攻防戦を活写します。なんといっても圧倒的なインパクトを残す刑事・大上を演じる役所広司の存在感は圧巻です。ヤクザよりも恐ろしい悪徳刑事を、呉弁を味方に凄みあるアプローチで体現します。そして、彼に振り回されながらも徐々に”マル暴の刑事（暴力団対策を担当する刑事）”としての精神を受け継いでいく、新人刑事に扮した松坂桃李にも注目です‼　特にラストシーンでの、あらゆる感情を爆発させる演技はトリハダものです。

えげつないシーン連発の”問題作”！！

　原作は、注目の作家・柚月裕子による同名作です。女性ながら見事に男たちの生きざまを描き出し、第69回日本推理作家協会賞を受賞しました。そんな警察小説の傑作を映画化したのは、「凶悪」や「彼女がその名を知らない鳥たち」などの、鬼才、白石和彌監督です。「仁義なき戦い」シリーズに代表される”東映実録ヤクザ路線”を継承するざらついた映像、ズームして引きまくる荒々しいカメラワークで、原作以上にえげつなく、泥臭い人間ドラマを構築しました。

　冒頭からいきなり、ブタの汚物を無理やり食べさせるといった、目を覆いたくなるようなバイオレンス描写はもちろんあります。しかし、あくまでもそれは一つのスパイスであり、サスペンスフルに描かれる”各々が信じる正義”というテーマは、重く観る者の胸に迫りくるはずです。現代の日本に一石を投じる・・・文字通りの”問題作”となっています。

暴力団の抗争勃発寸前・・・

　昭和63年、広島の街・呉原市。地場の暴力団・尾谷組と広島の巨大組織・五十子会系加古村組との抗争の火種が少しずつ広がっていました。ベテラン刑事の大上と新人・日岡は加古村組関連会社の男の失踪を殺人事件とにらみ捜査していたのですが・・・。

五十子会が呉原市で暗躍‼　いよいよ抗争が激化か！？

　大上と岡部の奔走もむなしく、五十子会会長の五十子正平（石橋蓮司）は、勢力を拡大していました。彼は14年前に尾谷組に抗争を仕掛けられた張本人であり、殺された幹部の敵討ちに燃えていました。大上が手打ちを促すも、ある条件を提示し・・・。

大上は失踪事件の解決で加古村組を追い詰めたい！！

　一方で、シマを荒らされ続ける尾谷組も我慢の限界に達していました。クラブ梨子のママ・里佳子（真木よう子）をめぐる小競り合いに端を発し、尾谷組の構成員が加古村組を襲撃します・・・。大上と日岡は、一刻も早い失踪事件解決を目指すのですが・・・。

　果たして本作は「アウトレイジ」を超える作品となるか！？2018年5月12日（土）より劇場公開(^^)/